親族の方と一緒にお越しください
電話は主治医の女の先生いから。
主治医の先生が言いづらそうに言った。
「この間の生体検査の件ですが、まだはっきりと結果が出たわけではないのですが、
どうも悪そうなんです。」
『悪いっていうのは・・・?』
「顕微鏡である程度見ただけで、正確な診断結果は後日になりますが、
悪いものかもしれません。」
『じゃあ悪いものじゃない可能性もあるってことですよね?どれくらいの確率ですか?』
「いや・・・、ほぼほぼ悪いもので間違いないかと思います。」
『がんってことですか?どれくらい悪いんですか?』
「病名も確定されたわけではなく、進行具合等も今はわかりません。来週には生体検査の結果がでますので、抜糸の際にご親族の方とお越し頂くことは可能でしょうか?」
あー、がんの告知ってこんな感じなんだーと思った。
取り乱すかとも思ったけど意外と冷静でいられた。
電話に出る前におおかた予想がついたからかな。
冷静ではあったけれど、不安とか悲しみとか怒りとか、そんな感情ももちろんあった。
『嫁さんはこどもの送迎などがあるので、9:00に大学病院は厳しいです。
オンライン通話じゃダメですか?』
めちゃくちゃ冷静に対応しているなーと、心の中で思った。
結局、少し予約時間をずらして嫁さんに来てもらうということで、電話を切った。
そこから抜糸までの1週間は、
おそらく今までの人生で一番気持ちの整理が難しい1週間だった。